仙石戦略担当相が、外国人医師に医師免許を交付したいと言っているそうだ。この政権は、これまでいろいろ議論すら発生しなかった分野に議論を持ち込んでいることについては本当に高く評価できるところが多々あり、政権交代の意味をまざまざと感じさせるものの、かつまた様々な点で深謀遠慮の足りない素人考えをどしどし発表してしまう。これもそうでなければよいが。
一般的に言って先進国では、他国で医師免許をとった者にフリーで医師免許を与える、ということはしていない。アメリカもフランスもそうだ。イギリスもドイツもそうだったと思う。これらの国でも、他国で医学部卒業しているものにそれ相応の資格は与えるが、新たに医師免許のための試験は受けなくてはならない。アメリカなどはさらに、原則数年の研修を受ける必要がある。こういった世界の現状を踏まえなお日本が外国人医師を受け入れようとする特別の理由がなければいけないはずである。
諸外国で外国人医師を受け入れない理由はおそらく問診技術とインフォームド・コンセントにあるだろう。これらはいずれも、患者の背景となる文化を理解しなければなしえないことである。簡単に言えば、「肩がこる」という訴え。これはアメリカには存在しない。しかもこれは左肩である時、まれに心筋梗塞の兆候であることがありえる。こういった文化を日本人医師が勉強するのはもちろん国試ではなく研修の時勉強するのである。もちろん欧米にも同様の固有の文化がある。たとえばアメリカでは出産に際して、かならず新生児に割礼をほどこすかどうか聞かなければならないらしい。ユダヤ人の場合を考えているのだろう。日本人産婦人科医がいきなりアメリカに行って免許をとってしまったら聞き逃してしまうところだ。
こういった問診や説明は主に内科の仕事と考えられるので、外科医を導入すればいいではないかと思うかもしれない。ところが日本の外科医の腕は世界最上級で、あまり受け入れる必要はない。たとえばNEJMという世界最高峰の雑誌に日本の胃癌手術の論文が載ったとき、「なぜこんなに死亡率が低いのか」というコメントがついていた。これは日本では一般的な手術成績であった。アメリカでラストホープといわれる日本人脳外科医がいることも知られていることである。
足りなくもないと思う(麻酔科以外は)。
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